■御柱祭・・・祭りの効果

◇地域に活力生み出す

県警によると、前回04年の御柱祭の観客と氏子を合わせた総動員数は178万6000人。前々回(98年)を6000人ほど上回る過去最高を記録した。1962年の人出は60万人、80年は84万8000人だったから、近年の激増ぶりがうかがえる。
昨年4月から約2カ月の間行われた長野市の善光寺御開帳の参拝者数673万人に比べれば少ないが、実質12日間の祭りの人出としては大きな数字と言える。当然、観光が地域にもたらす経済効果を関係者は期待する。
諏訪広域連合が前回、長野経済研究所に委託して行った調査「広域観光振興における御柱祭の役割」によると、観光消費額は交通費を除いて160億900万円で、前々回を3億円上回った。見物客1人当たりの平均支出額は約1万円で、同じく500円ほど増えた。また、04年は県外客が54・1%と全体の半数を超えた。
不況が続く今回はどうか。同研究所の寺沢直樹主任研究員は、行政やJRがPRを強化していることもあり、「前回並みの人出はあるだろう」と予想する。ただ、「人が来ても宿泊しなかったり、周辺地域まで回らなかったりする懸念がある」と指摘した。
諏訪地方の6市町村でつくる諏訪地方観光連盟は集客目標などは掲げていないが、「前回並みくらいはいくのでは」(会長の山田勝文・諏訪市長)とみている。観光客だけでなく「氏子を含めて、いろいろな形でお金が回っていく効果があり、活性化につながる」からだ。
御柱祭では、曳行(えいこう)路沿いの民家などに「お宿」と呼ばれる休憩所が設けられ、氏子や客におもてなしの料理が振る舞われる。信州諏訪農協生活部によると、今回は前回を上回る料理の予約が入っているという。
諏訪地方では、御柱祭がある年は冠婚葬祭や家の新築を控えると言われる。おもてなしなど祭りにお金を費やすためとみられ、それだけ住民の思い入れが強いのだ。長野経済研究所によると、前々回の祭りで住民アンケートを基にその支出額を推計したところ、総額45億8000万円に上ったという。
祭りがもたらす効果は経済面に限らない。諏訪地方は平成の大合併で6市町村の合併を目指したが、実現しなかった。それだけ各地域の独自性が強いと言えるが、不思議なことに、いざ御柱となれば地方全体が団結する。それは人々の心の中にも現れるだろう。
今回の下社山出しで自らも柱に乗るという今井竜五・岡谷市長は「経済状況は厳しいが、一致団結して祭りを盛り上げたい。それが地域に活力を生み出し、人々の結びつきは緊密になる」と語る。
諏訪地方の住民21万人が、自らのアイデンティティーを確認する御柱祭。それは、縄文時代から受け継がれているとも言われる諏訪人の魂に火を付け、活力を生む効果も期待されている。【武田博仁】

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