■現代語訳:霊の真柱(第四図)
平田国学の宇宙生成論!!
第 四 図
(神世七代の誕生)
●黒白に分れた黒は、御隠身隠せりとある神々なり。
●よみには夜見と書くより他に、当てるべき字はない。泉の字は更になし。しかしながら、使い慣れたままに、借りてかけるなり、拘るべからず。
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あの漂える「一つの物」の中から、葦の芽のように萌え上がる物が、ようやくに上がり、やがて天と成りました。その跡に残った地となるべき物が、未だ固まらずにいる時、その底にもまた「一つの物」の芽が生まれて、それがやがて泉(よみ)の国となったのです。後に地から切り離れて、今に見えます月が則ちこれです。
(この事は、なお第十図に著して、そこで詳しく述べます)
これを夜見(よみ)の国とも言う訳は、図のように下方にお生まれなされ、大地に隔てられ、天の光を受けないために、その成り始めより闇の中ですので、夜見の国と言うのです。
(さて、この夜見といいますのに、黄泉という字をあてたことにより、たいへんに誤った説が出てきました。それは第十図の下に詳しく述べておいたので見て下さい)
このように始めは、地の根の底に出来た国ですから、根(ね)の国とも、底(そこ)の国とも、下津国(したつくに)とも、根の堅洲国(ねのかたすくに)とも言うのです。
さて豊斟渟の神(トヨクムヌシノカミ)はその芽ぐみ下る物によって、成り出た神です。
(それは、葦の芽のように萌え上がる物によって、宇麻志葦牙比古遅神(ウマシアシカガヒコジノカミ)が成り出たことと同じ例です。)
御名の豊(トヨ)は尊称です。斟淳(クムヌ)とは、字がともに借り字であって、斟(クム)は物が集まり凝(こ)る意味で、芽(きざ)す意味とを兼ねた言葉で、それは根の国の下方へ凝(こ)り固まった様子により、名付けられた御名です。さて、淳(ヌ)とは主(ぬし)と言うのを省略していうので尊称です。
(この神の御名が葦芽比古遅神と申す御名に似ていることを思って下さい。またこの御名の意義によって、その神と相対して、上と下とに成り出たことも心にしっかりと押さえておいて下さい。)
(これは、国之底立と申すので明らかな上に、天之底立と相対することを思うべきです。『古事記傳』『三大考』の説は、ともに間違いです。それは『或問』で述べてあります。)
その形状を言い難い「一つの物」が、混成する中より、天は萌え上がり、泉(ヨミ)は垂れ下がって、跡に残った物が初めて土(ヒジ)の形を成して、なお初々しいほどに成り出たので、このように御名に負給ったのです。
須比智(スヒジ)とは、砂の意味であって、あの「一つの物」の、やや土(ヒジ)の形をしていますが、ようやく砂の形の分かれたことにより、名づけられた御名であります。
(師の説と少し異なりますので、合わせてお考え下さい。)
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